血を流す者

ある国の王がいて、気品があり、賢く、王に相応しい振る舞いをしていた。

国は土地に恵まれており、豊かで栄えており、国民も食べるものに困ることなく健やかに過ごしていた。

王は寛大で、自分の私欲のために税を重くするのでなく、国民のことを思って、税を軽くしいた。国民は王に忠実で、自分たちが健やかに過ごしていることをありがたく思っていた。

 

隣にも国があったが、そこは貧しく、争いが絶えず、国王は民から重い税を取り立て、国民は国民同士で奪い合いをしていた。

このままでは国が滅んでしまうと考え、争いの国の王は言った、「我らが争い合うのは、ただ貧しさからである。今一つになって、我らに相応しい豊かな国の土地を譲り受けよう。」

争いの国は戦の準備をしたが、日頃から争いが絶えなかったので、奪うことや争いに非常に長けていた。

豊かな国の土地を奪うために争いの国が攻め入ると、豊かな国は瞬く間に敗れた。

 

争いの国の王は、戦に敗れた豊かな国の王に言った、「この土地は我らに相応しいので、これから我らの国とする。貧しい土地はもう必要ないので、生き延びたいのなら、そこに移り住むがいい。それも望まないのなら、この場で処刑する。」

豊かな国の王は言った、「どうか私だけでもここに住むことを許して、残していただないでしょうか。他の全ての者はどうしようと構いません。戦に敗れ、弱く、私を守ることもできない者たちなのですから。」

争いの国の王は言った、「自らの血を流す覚悟もない者よ、お前のような者が王だから、誰もお前のために戦おうとせず、瞬く間に我らに敗れたのだ。お前のような国の民は、豊かなときは忠実だが、ひとたび戦が起きれば、自分だけ助かろうと真っ先に逃げ出すものだ。」

 

豊かな国の中にはひとりも貧しい土地に逃げる者はいなかったので、争いの王は、彼らを滅ぼしたが、反旗を翻す者だけは残した。

 

21.3.24